2013年2月7日木曜日

雑多感

#1 Good students.
先月から学生さんに対して指導「らしき」ことをしている。正直に言うと自分にまだ人を教えるだけの実力はないと思うし、立場からするとまだ教えてもらう人、という感覚。

でも学生さんはすごく優秀。自分の学生時代を考えると、あり得ないくらい出来がいい。消化管腫瘍の肉眼分類をすらすら言えることと、もっとすごいのはそれを実際の検体を目の前にして適用できること。





でも卒後4年くらいたつと、学生時代が遠のいてくる。このブログを始めたときは大学5年生くらいだったけど(そういう意味では自分が学生のころから研修医、そして今にわたるまでの記録がある野は珍しいと思う)、そういう時期があったのかなぁで終わる。

何が言いたいのかというと、優秀なのはいいんだけど、優秀じゃなくてもよい。そんなのは国家試験に通ってしまえば、結局振り出しになるだよ、ということ。

ちょうどそれは大学入試が終わった後に試験の順位がどうでもよくなるのと一緒。国家試験が終わればまた一から振出しに戻る。

卒後ある程度時間がたってから、学生時代に何をしてたんですか?と聞かれることがある。その時に期待される答えは「胃がんの肉眼分類を…」ではないのだろう。

自分は部活をやらなかったけれども、周りにいろいろな人がいて釣りに連れて行ってもらったりいろいろな経験ができた。趣味なのか実益なのか?「プログラミングと英語をやっていた」というと聞いた人はなんとか納得してもらえる。

以上を要約すると、「学生時代はとことん遊んだ方がいいよ!」という結論になるけど、おそらくこのブログの過去のエントリーでそういう発言を否定していた時期があったかもしれない。でも今ならあの指導医の先生が言っていたことはすごくよくわかる。

#2 To teach is to learn twice.
いわゆる上級医に直されたところを部長に直されるみたいな展開がちょくちょくある。まぁそういうところに対してプライドなんてないから、素直に「ごめん、ここ間違ってた!」と謝って終わることが多い。

他の先生には学生さんがついてると教えるのが面倒だ、という人もいるけれど、まぁ個人的には楽しい。ただ、自分が忙しすぎて面倒を見れない時があるのは少し申し訳ないけど。

楽しい、というよりも「楽しくなくてはいけない」という哲学的なもの。学生さんと一緒にやったからレベルが落ちたとか、作業効率が悪くなったとか、言われたくない、むしろ学生さんがいたことで良くなったね、という風になるべきだ、という信念的なもの。そういうものを根底に考えている。

#3 Something I'm afraid of.
最近は夏休みや冬休みが少ないとのこと。これは世界的な流れがそうなので、ある意味仕方ないのかも。自分が学生のころは夏休みは2か月間あったんだけどなぁ。ただ2か月はちょっと長すぎた。1か月で十分。。。

#4 Overseas experience
結構話を聞くと海外に行ったりとか、いわゆる「国際交流」をしている学生が多いみたい。

「国際交流」を趣旨として掲げる団体がいくつかあるけど、結局は海外旅行の延長線上でしかない気がする。それはそれでいいんだけど、真面目に活動してます!と言われると違和感を感じる。結局それで何かが変わったりとかはなさそうだし。

やる気のない先輩?からのアドバイスを送るとすると、

日常会話よりも英語の教科書や論文を読めるようになった方が数100倍役に立つと。

我々日本人でも六法全書を読みこなすのは難しいのと同様で、英会話ができても英語の文献を読むのは難しい。

Termを覚えればいいんでしょ?と言われればその通りだけど、ひと山越えるのに結構苦労する。学生のうちに越えられるのであれば、早く越えた方がいい。

2013年2月1日金曜日

Dear students.

#1 Medical students rotating in diagnostic pathology dept are hardworking, in general.
病理をrotateした学生がこのブログを発見したとのことで一言。

まぁがんばって。

1ヵ月間色々頑張って「指導」してみたけど、結局残るのは知識ではなくて緩やかな思い出。途中息切れ?もしてたけど、まぁ頑張っていたと思う(少なくとも自分の学生時代に比べると)。

自分が病理を選んだ理由の一つが、ちょうど自分が同じ大学五年生で選択で病理を回った時に、どこの科も見学しかさせてくれなかったのに、病理だけは切り出しから標本を見るところまで医者とさせてもらっていることが変わらないのがすごい!と感じたから。その時の知識はもはや残ってはないけど、色々やらせてもらった、という実感はすごく残っている。

ある意味実力勝負なところがある。

その世界で自分が生き残れる自信は正直あまりないけど、志高くしていれば、どこかでまた出会うことがあるだろう。その時に恥じないようにと。まぁ実際はどこかでしょぼいことしてるかもだけど。

#2 What, how and whom to teach.
何を誰にどう教えるか。当たり前のようで難しい。教える側の余裕、能力、受ける側の余裕、能力、そして両者のタイミング。

自分が学生の頃のもやもやした気持ち。実習なのになんで見学なの?ということ。手を動かさずして実習というのは詐欺だ、という気持ち。

なので現在の自分の指導方法は極めてシンプルで実際にやってもらうこと。もちろん難しいものは自分でやるし、基本的にはそばに居て一対一。

初めてだと、何をしでかすかわからない。でもそれは誰しも最初はそうだったし、自分もそうだった。決して悪いことではなく、そういうものなんだと思う。

今のところそういう発想が多分学生さんのneedsとマッチして、評価してくれていると思いたい。ただ、これが10年後20年後に同じ事をしていて果たして評価してくれるのか。それとも時代に伴って指導法は変わっていくのか。

結果の見えない、教育というものの難しい面かもしれない。