2016年12月2日金曜日

細胞診専門医試験の受け方 in 2016

#1 細胞診専門医試験

細胞診専門医試験を先日受けてきた(合格しました).感想を含めて,適当に記載.

・H28 年度は AP 浜松町(最寄り駅は大門駅)で行われた.
・問題は全部で 70 問,全て五択問題
 鏡検問題 20 問(婦人科が半分超を占める)
 筆記試験 写真問題(25問)+文章問題(25問) 80 分

病理専門医試験とは違い,携帯電話の扱いや,休憩時間の過ごし方など比較的緩かった.

【鏡検問題】
比較的ストレートな問題が多い.数問は非腫瘍性(あるは正常)の所見が正解になっていたが,過去問にもあるように変な選択肢は答えになりにくい.基本的に標本には点は打たれていないが,症例によっては「この領域を見なさい」という意味で線を引いてあった(特に所見がごく一部しかない症例で,領域を限定されていたが,限定された領域以外にも所見があった).
顕微鏡に標本が載った状態で,受験者が 6 分毎に順に回っていく仕組み.スライドを外してはいけないとのこと。
所見があればすぐに診断がつく病変(セミノーマや癌など)については時間が余る傾向にあったが,所見がないことが診断に必要な病変(軽度異形成には high grade の病変を否定する必要がある)などは比較的時間が足りない傾向にあった.選択形式だなら、germ celtumorなど二つ以上所見がありうる病変でも、消去法で答えを選べるから、余計な詮索をしなくて済む分かなり楽。

【写真問題】
問題のレベル的には鏡検問題とほぼ一緒で,癌なら癌!という感じ.選択肢にも優しさを感じる.
臨床情報と,弱拡大(10 倍程度)の写真と強拡大(40 倍程度)の 2 枚の写真が提示され,五択の中から正答を選ぶ形式.一問だけ,画像が荒すぎて何がなんだかよく分からない症例があった.
過去問とほぼ同様.文章問題と同様,H26 年度以降は模範解答はない.過去問で「選択肢の模範解答」をじっくり眺めていると,H26 年度以降の問題でどれが正解だったかなんとなく見えてくる.つまり選択肢としては出てくるものの、正答には選ばれないものがありそうということ。
間違っても ASC-US, ASC-H 等を答えさせる問題は出てこない.

【文章問題】
過去問の焼き直し+新しい問題が数問程度,A(婦人科), B(婦人科以外), C(口腔外科)で総合科受験者はどれを選んでも良い.文章問題は過去 5 年分程度をこなしておけばまず問題ない(後はすきでどうぞ).ただし,注意が必要なのは H26 年度以降から模範解答が掲載されていないのと,H25 年度以前の模範解答に誤植が数カ所あることである.一番効率的な方策は H22 年度辺りから,模範解答を頼りに答えを調べながら解いて,H26 年以降は模擬試験のつもりで解いて,答えを調べるのがスマートな気がする.

【対策】
・病理専門医を有している人:
病理専門医試験ですでに普通に勉強してればなかなか落ちない試験だが,勉強せずに受験すれば多分落ちる試験。レベル的には実は病理専門医試験に少しプラスアルファされた程度だと感じた。もちろん普段は絶対に見ない疾患も含まれているので、それなりの勉強は必要。
普段から細胞診のディスカッションに参加していれば,そんなに問題はないと思われる.
12 万円の講習会に行くのはおそらく時間の無駄かもしれない.

・病理以外の人:
問題自体は簡単とは言え,初めて聞く病気について細胞像から判定できるようになるためにはある程度の訓練が必要.
病理部へ出向いて標本を見る機会がない人は 12 万円の講習会はあながち悪くはないかもしれない(ただし,全く勉強せずに受講すると苦痛でしかないという話).
それすら難しい人は、本を数冊読んで疾患のイメージを叩き込むのが得策。

【合格するのに必要十分な本】
いわゆる学ぶ君(細胞診を学ぶ人のために)や実用細胞診トレーニングは詳しすぎる
結果的には「読む・解く・学ぶ 細胞診Quiz50 ベーシック篇」「読む・解く・学ぶ 細胞診Quiz50 アドバンス篇」程度の知識と過去問くらいで十分なんだろうと思われる.
技師さん向けの試験は難しいけれど,医者向けの試験は実際問題そんなに難しくない.
(ただし,病理専門医試験はある程度時間をかけてかなり本腰を据えてしないと,きつかったけど…)

顕微鏡を全く見ないで受かろうと画策してる人向け:ポケット細胞診アトラス、アトラス細胞診と病理、実用細胞診トレーニング(問題は難しすぎるのでパス)→細胞診quizが現実的か。そして過去問を読んで、正答を調べる。顕微鏡自体の使い方はどこかで学ばないといけないけど、細胞診像のイメージを頭に叩き込んでいれば、規定時間内になんとかなりそう。