2012年3月17日土曜日

financial planning

#1 financial planning
老後の年金を資産運用するという401kの6割が元金割れというニュース。

まぁプロが朝から晩まで働いて儲けている世界で素人が参戦してもひどめを見るだけのような気がする。

我々の世界で例えるならICUで重症患者を診ていて、患者の家族が「あれはちょっと無理そうだけど、風邪や腸炎くらいならどうせ薬を出してほっとけば治るし。ちょっと教科書読んで勉強すればいいんでしょ?」とか言って適当に治療するようなもの。

こんな設定はありえないけど、このありえない状況が株式ではあり得るということ。

基本的に株式は非ゼロ和らしく株価の上昇があれば全体的な価値が上昇し株価が下落すれば全体的な価値は低下する。

ただ、「全員が得をする」という前提を達成するには株価が常に上昇をしていなくてはならない。下落することがあればそれはすなわち全員が損をする。実際には空売りをしている人がいるから多くの人が損をするということになるのだろう。

そんな世界で常に儲けを出せるのはプロのなせる技、というかプロでも損をすることもある。例:リーマンブラザーズ。

それでも投資をする人、投資を勧める人は「リスク」という概念を十分に承知しているはずで、医療機関でトラブルを起こすことはないだろう(選んだ自分の責任?)。

というわけで多分自分は(株主優待とか特殊な用途でない限りは)株に手を出すことはないだろうし、もし手を出すとしたらその時は医者を辞めているだろう。中途半端に手を出すにはリスクが大きすぎるので。

#2 life insurance
この前確定申告をしてきた。

生命保険に入っていれば控除ができますよと。

まぁ株式に比べたらリスクを減らす方向に働くので生命保険に入ることは「了解可能」だと思われる。

ただ、個人的には死んだ時は死んだ時だし、それまで無駄遣いせず貯蓄をしておくのが一番かなと思っている。多分働けなくなったら保険金が下りても生活は苦しくて多分やっていけないと思う。

なので日々節約。


2012年3月13日火曜日

アクセス解析から

アクセス解析でヒットしたキーワードから考察を

#1 シラー法
自分はあまり縫合はしないんだけれども、爪母が脱臼するような挫傷でシラー法を使う(らしい)。

原理自体は簡単なんだけど(正直どれくらいで抜糸するかは知らない、大抵外科の先生にお任せするので)、教科書(レジデントマニュアル系)にはあまり載っていないみたいでそれで検索されるのかもしれない。

Minor emergencyなんかは両端それぞれ縫合する方法を採用している。前も書いたけど、要は爪母が固定されればあまりこだわる必要はないのかもしれない。

#2 Epwing
これは「Wikipediaがoff lineで使えるようにepwing版が登場しましたよ」という意味。自分は最近携帯電話をスマートホンにしていつでもネット検索が出来るようになったのでepwing版のwikipediaの利用価値は急速に落ちたような気がする。

ただ勉強をする時の調べ物としてはresponseが早いので利用価値はあるかも。現在は画像なしで2GB程度。

#3 594orz
もう閉鎖されて久しいけれど、まだ根強い人気。自分も一時期お世話になったので。

季節性に復活するという噂もあったけど、どうなのだろうか。あそこにあった第1回からの国家試験の問題を何らかの形でどこかにもう一度アップロードして欲しい気がする。

#4 PLとカロナール
正式にはPLは総合感冒薬で抗ヒスタミン薬やNSAIDs.アセトアミノフェン、カフェインが入っている。錠剤はピーエイ錠。だいたい普通の病院ではPLという粉薬が採用されていて、たまに「粉駄目なんです」という人がいて、そんな時に錠剤があればなぁと思っている。

カロナールはアセトアミノフェンのことを指す。今まで勤務した病院ではコカールとか言ったりもしていた。

PLが嫌いという人がいる。NSAIDsが入っておりアレルギーの心配がある、抗ヒスタミン薬の眠気をカフェインでキャンセルするというのは疑わしい(事実PLでも眠い人は結構いる)、複数の成分が入っていて気付かないうちに使ってはいけない成分があったりするかもなど。

基本的に薬は単剤が多い(だから数種類薬を出す)。ただ、風邪はしょっちゅうあるからよく出されるような処方を合わせたのだろう。最近ではCa拮抗薬と利尿剤の合剤もあるくらいだし。

ただ個人的にはNSAIDsとアセトアミノフェンを同時に含むのはあまり意味がわからない。リスクを回避してないし、メリットも手薄になる印象。

その点カロナールは解熱鎮痛剤で副作用も少ないし(ない、とは言わない)使いやすい薬。

PLのことを散々批判したけど、たまに出します。楽ちんなのと患者さんの希望で。

2012年3月11日日曜日

Clinical practice 7

久しぶり。今回も内科系。いつものように若干ぼかしが入っています。

Case 90歳代女性
病院受診歴なし。呼吸苦、食思不振を主訴に受診。ADLは車椅子レベル。既往は特記事項なし。内服なし。アレルギーなし。

全身状態は良好だが、ヒューヒュー言っていた。

#1 心不全 vs 気管支喘息
結構有名な鑑別で、聴診上wheezeが聞こえたら心不全か気管支喘息かを鑑別しろと。聴診上ははっきりはわからないけど、coarse crackleが両側で聞こえたら心不全に傾き、局所性に聞こえたら気管支喘息に肺炎がかぶっているかもと思うようにしている(実際はどうかよく分からなくてレントゲン撮っちゃうけど)。

これまで喘息の既往がなくてアレルギーらしいアレルギーもない。気管支喘息は否定的に思えた。気管支喘息の場合は大体既往があって本当の初診は実質ないと言っても過言ではない(∵小児科で一度は引っかかってる)。

なのでまぁ心不全だろうと思い心不全の原因検索を中心に行うこととした。

#2 治療すべきかしないべきか
ルーチンで肺野と心臓を聞いていたら右胸部に放散する収縮期雑音が聞こえた。AS…?エコーで確認してみるとやっぱりそう。

レントゲン上は心拡大が軽度あるものの、肺には水は溜まっていなさそう。足のむくみもないし。でもBNPが100くらいあるので心不全で良いだろう。エコー上も大動脈弁の石灰化が強く開口障害あり(poor studyとのこと)でASから来る心不全でよいだろうと。

でここで問題となるのはじゃあどうやって治療するか。ASの場合は根治的には手術(弁置換術)が適応となる。それも早い段階で必要。エコー上はpoor studyだが十分手術適応は有りそう。

しかし今のADLを考えると積極的には手術を勧めることはできない。本人は長生きしたいといっているけれど。家族に同意をとっておく必要がある。

保存的に診る場合はβ-blockerが使えない。特に治療らしい治療は出来ないということになっている。

予後に関して、狭心痛出現からの平均余命は5年、失神は3年、心不全は2年と言われる。

本人は動きまわることが無いので狭心痛や失神があったかどうかははっきりしない。喘鳴が心不全の症状だとすれば予後は2年程度、ということになる。こっちの勝手な言い分になるが、90歳まで生きれば十分ではないかと。本人や家族の前では決して言ってはいけないけれども。

#3 いかに対症療法を実践するか
心不全に対しての治療はARBか利尿剤か、くらい。降圧薬は予後のevidenceがあるのだろうけど、正直症状を取る薬としては疑問で利尿剤はたしかに効くけど、本人はご飯がまともに食べれていないという。血圧は低くなかったけど、そんな人に利尿剤をホイホイ打つと容易に脱水になってしまう。

栄養状態が悪くアルブミンが低いと血管外へ水分が容易に出ていくため、それも呼吸苦に加担しているかもしれない。そこに利尿剤を安易に打つと血管内脱水になって簡単に血圧が下がってしまう。

というわけで考えた末、喘息として治療することにした。

#4 心不全に対して喘息の治療はちょっとは効く
喘息の時の吸入はβ2アゴニストで、心臓はβ1受容体がメイン。だから効かないことになっているけど(しかも吸入だからより局所的)、経験上結構効く、一時的だけど

一時的でしかも根本的な原因がどうしようもない中でも前に進まなければいけない時にずらした治療が効果を示すことがある。

もしこれで効かなければ入院して全身管理が必要かと思っていたが(ご飯が食べられなければつまりそういうことになるわけで)、何とか持ちなおしてくれた。

テオドールが多すぎて途中で中止したくらい。

#5 今後のフォローアップをどうするか
90歳のおばあちゃんでこれまで薬を全く飲まなかった人が一時体調を崩してそこから薬を一生のみ続ける、という構図がどうかということ。

家族はなるべく薬はないほうが良いとのこと。正直90歳なら多分別の病気が命取りになりそうな気もする。本人がどうしても飲みたいといわれれば話は別だが、症状が落ちつている限りは投薬は必要ないのではと(予防をする意義が乏しい、再発予防は話は別だけど)。

というわけで、しばらくは「対症療法」的に一時だけ投薬をすることにした。

例えばこの状況であればARBくらいは使ってもよさそうだけれど、これを使って予後が改善するとはちょっと思えない。

通常のガイドラインはもっと若い人をターゲットにしているはずで、そういう人たちなら大動脈弁置換術も十分考慮されるしARBも早期から服薬したほうが良いと思う。

でもどっちみち予後が短い人に(これまで飲んでいたというのならまぁ話は別だけど)投与しても予後が伸びるとは思えない。

#6 投薬の中止の検討
一度始まった投薬を中止するのは結構難しい。副作用がひどいというのなら簡単だけど、現実に特に問題のない人に「不必要だから」という理由で切るのは結構大変。たかが胃薬であってもそれでうまくいっている人を急に切るとお腹の具合が悪くなったりするので。

高齢者の投薬をどのように中止するかそういう文献はあるのかなとuptodateを見てみたらちゃんとあった。論文自体が少ないらしいけど。

(関係ないけど、uptodateってすごいなと思う。臨床関連の話題はほとんどすべて網羅しているような気がする…)

まぁ書いてあることはだいたい同じで急に減らさずにゆっくり減らせとかまぁそんなこと。

後は本人がどういうふうに感じるかが重要だと思う。投薬を減らされて自分はもう積極的な加療の対象から外れてしまって見放されているんじゃないかという危機感を持たせないようにかなり慎重になる必要があると思う。

人間というか日本人?は薬を貰うと満足する性格みたいなので。

雑多感

#1 New attempt
一度これまでの自分の臨床経験をもとに自分のマニュアルを作ってみようとしたことがあった。

結局は頓挫してしまったんだけど、途中まで作ったものをもう一度やって完成させてみようと思った。

というのも外来をやっている時に「あの薬なんて名前だったけ?」とか「この病気で他になんか検査するものあったっけ?」みたいなことがしばしばある。

例えば胸痛で受診して急性冠症候群が疑わしければ、血算生化(CK-MB)、胸写、心電図、心エコーとtroponin IとかTとかH-FABPとかをする。

それで心筋梗塞だ!となると今の外勤先はカテをする先生はいないので搬送になる。その際にバイアスピリンを噛み砕いて飲んでもらう。

というのなんだけど、CK-MBを忘れたり、troponinを入れ忘れたり。

前の病院ではそういう患者さんばっかりだったから何も考えずに出してたけど、今冷静にどうしようかと考えると本を開いて確認したくなる。

でも本は自分の知りたいことの順序には書いていなくて、いくつかの本を読んで多数決みたいにして決めていく(大体今日の治療指針通りにするんだけど)。

ただ、次回外来をいつにするかとかそういう細かいこところまでは教えてくれなくて、これまでの経験や教えてもらったことをもとにするんだけど、そのネタ帳みたいなもの。

#2 OCR doesn't work well.
読取革命というPanasonicから出ているOCRソフトを購入してみた。

結構PDFにすることが増えてきたからまぁ調度いいやと思って透過型のPDFにしようとしてたところ。

実際に使ってみたけど、scansnapのスーパーファインモードでの読み取りはかなり雑、というか無理。

OCRをかける領域のズレが大きいし、読み取り結果もまぁイマイチ。

最新版だから結構イケるんじゃないか?と思ったがscansnap付属のOCRソフトの方がまだ読み取りは良い、という結果に。

まぁこういうこともあるかなと若干諦め気味だけど。

と書いて約1週間放置。また気を取り直してやってみたらかなり検出率良好。やり方が悪かったのか…?

#3 3.11 again
去年の3月11日何をしていたかというと、オペ室で整形の手術の補助についていた。そうしていたら看護師さんから「なんか地震があったみたいですよ、東北で」と言われ、オペが終わって医局に戻ると津波で人が流されている映像が写っていた。

すごいというかあまりに現実離れしすぎていて「ああ、」ぐらいしか言えなかった。

「関東に行くのやめにしたら?」

といろいろなところで言われたけど、結局行くことにして今ここにいる。

その選択肢が良かったのかどうかは未だによくわからない(「色々な」意味で)。