2012年8月18日土曜日

Clinical practice 9

Case 90歳代男性

詳細は不明(術後のコール)。異物誤飲の大腸穿孔術後で挿管、鎮静されたままICUへ。自尿が出ていなかったとのことでブラッドアクセスとしてUKカテーテルが挿入されていた(術後に透析1回、翌日も透析予定)。

#1 術後管理
あまりに術後管理をするのが久しぶり過ぎてちょっとびっくり。Nurse callがあり「患者さんの顔が赤いんですけど痛いんですかねぇ?」と。

フェンタニル、プロポフォールで鎮痛、鎮静ががっつりされていて、ドパミンも入っていた。相変わらず自尿はほとんど出ていない。血圧は130/80mmHg, HR 100/min前後, SpO2 100%(FIO2…忘れたorz)ぐらい。あまりに薬が入りすぎて脱水なのか溢水なのか、痛いのか痛くないのか正直わかりにくい。

悪いなりにバイタルサインも安定している。顔をしかめることはないけれど、赤いのはなんでだろう。手術自体はどうやらうまく行った?ようだし…???看護師さんが「痛いかもしれないから痛み止め使ってもいいですか?」と言ってきたのでロピオンを使ってみた。痛みがあれば血圧も一緒に下がるかもしれないけど、ドパミン、輸液も入っているしまぁしばらくは大丈夫だろうと。

#2 Hemodynamic instability
結局顔面紅潮が治ったのかどうかは分からず就眠。結局翌日も透析を行って経過は順調だったみたいだけど、夜になって急に脈拍が低下しそのまま心停止。

家族としてはなかなかその死を受け入れられなかったみたいで、CPRをしたが全く反応せずにそのまま死亡確認。

CPRをしている時に看護師さんが「なんかだんだん手足が冷たくなってきて…」と言ったのを聞いてはと気づいた。

昨日の顔面の紅潮は痛みがあるんじゃなくて多分warm shockだったんだと。Warm shockからcold shockになってそれで最終的に心停止に至ったと。

よくよく考えてみれば大腸癌の手術ではなくて腸穿孔の手術で腹膜炎を呈していた(高齢で多分発見が遅れたのかもしれない)わけで、septic shockに至っていても全くおかしくない。

ロピオンは腎機能障害に追い打ちをかける可能性はあるけど、少なくとも術前から自尿が低下していた状態で術後も透析を回しているからまぁ悪さはしていないと思うけど、あまり改善にも貢献していないかもしれない。

#3 Septic shock
昔Surviving Sepsis Campaignなんてのをやっていた(今もあるみたいだけど)。

それを最初に聞いた時にCentral venous pressureを結構重視しているなぁ、という印象を持った。体内のvolumeの推定としてCVPを使っているだろう。でもCVPを測定したことがあればわかるけど、結構適当になる。個人内での推移はまぁ意味があるのかもしれないけど、基準と照らし合わせるとホントにこれでいいのかなと。それよりもIVC径の方がまだましかと(どっちもどっちかもしれないけど)。

このケースでは恐らく大腸穿孔により大腸菌が腹腔内及び血中内に侵入しbacteremiaからsepsisになったと考えられる。血液培養は出ていないけど(出したのかな…主治医は)、恐らく大腸菌を始めとした嫌気性菌が検出されるだろう。いわゆるendotoxin shockを呈していたのだろう。

Retrospectiveに見てもやれることはやっているし、やはり高齢ということも鑑みると、体力の限界といってもいいのかもしれない。透析を2回回しているから(エンドトキシン吸着療法ほどではないものの)ある程度エンドトキシンも吸着されていそうだし。


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