2011年9月28日水曜日

Medical practices.

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Schiller法についての検索が多いみたいなので一言。
爪母が露出した時の縫合の方法の一つで
0. 指の麻酔(お好みの方法で)。これ重要。結構痛いので。
1. とてもよく洗う(麻酔してからでないと十分に洗えない)。
2. 爪母(根元の白い部分、柔らかい)の脱臼を本来の位置に戻してから、18Gの針で横並びに2ヶ所穴を開けて(図でいうと青い○)それぞれから糸を通して爪母が刺さっている皮膚と一緒に糸をかける。(言葉で説明するのは難しいけど、まず一箇所目の穴を通して皮膚と一緒に糸をかける、その後糸の反対側に針をつけてもう一箇所の穴を通して皮膚と一緒にかける。すると1本の糸で二箇所縫ったことになる。その糸の両端を結ぶ(赤く塗りつぶしたところ)。ちょうど四角形のようになる)
3. 個人的にはゲンタシン軟膏→(±トレックスガーゼ)→ガーゼ
ちなみに文献的にちゃんと調べたわけではないのであしからず。末節骨の骨折がある場合は特に適応あり。別の先生に習ったやり方は糸を2本使ってそれぞれで結ぶ(2本の線が並行する感じ)やり方もあるみたい。「新しい創傷治癒」のやり方だと爪を可及的に除去しているみたいだけど、どれが一番正しいかはわからない。 

相変わらず検索が多いので(昔の自分みたいに)みんな困っているのだろう。だから文献的に調べようと思ったけれど、Schiller法について書いてある参考書が見当たらないorz多分自分の探し方が悪いのだろうけれども、例えばhttp://www.ncemi.org/cse/cse1003.htmやマイナーエマージェンシー(http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731220)に書いてある方法はかなり端の方で縫ってある。要は爪床部の固定が十分であればよくてあまり縫い方にはこだわらなくて良いのかもしれない。 

ちなみにマイナーエマージェンシーはかなりおすすめ(別に自分には一円も入らないけど)。内容はアメリカン過ぎて若干日本と乖離するところもあるけど、「ってかどうすんのこれ?」みたいな普通のマニュアルから外れる内容も書いてあることが多い(だから+α的な本)。
さらに検索が多いのでちょっと絵を追加

# Recent practices.
最近診た症例集。と言っても臨床のだけど。

個人情報を含まないように、また症例をわかり易くするように若干つくり話を交えながら勝手に書いていく。

Case 1 爪が剥がれた。
60歳くらいの男性。農作業中に機械の刃に指が当たって右示指の爪が剥がれて受診。
ポイント(他にもあるだろうけれど、とりあえず)
・まずは予習
http://www.wound-treatment.jp/こういうサイトを見る。

・爪母が見えているか
大した経験じゃないけれど、派手に指が切れたとき(でも腱までは折れていない)時は爪が剥がれて爪母が丸見えのことが多い。そうでなければステリストリップ(ロイコストリップ)でくっつける。後は時間が解決(次が生えてくるまで)。

・傷はどれだけ深いか
とりあえず腱が切れていようがいまいが縫っちゃうことが多いが、その後のフォロー(翌日に必ず整形外科or形成外科)は忘れずに。

・骨折の有無を確認
今回は受傷機転からなさそうだが(強打したわけではないので)、でも末節骨骨折がないとは言えない。というわけで

・出血しているかどうか
指はどうしても出血が多い。なので止血の処置が必要。多少のoozingくらいなら圧迫とソープサンでなんとかなるけれど、駄目なら無理せず送る。

とまあ確認。結局この症例では爪母がバッチリ見えており、腱鞘は切れていない、骨折もレントゲン上なさそうで出血はじわり程度。なので

「局麻(Oberst麻酔+流行りの?http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2008-12-29)→水道水でよく洗浄(農作業の機械は汚いから)→爪の位置を正常な感じに戻してから爪を18Gの針で穴を開けて縫う(コの字型に縫ったりするらしい→Schiller法で整形外科の本を見てね)→残りの皮膚もずれているところはなるべく縫う→ソープサンでグルグル巻いて翌日の外来へ」

ちなみにこの糸を取る時はすごい痛いらしい。あとさっきの創傷治癒のページだと骨折がなければ戻さなくてもいいのではと書いてある(骨折がある場合は爪甲が固定されていればシーネ代わりになるということ)。。。

Case 2 擦りむいた
60歳くらいの男性。 外出中に階段を登ろうとしてこけて手を擦りむいて受診。
ポイント
・傷の深さ
大体表皮剥離くらいだと思うけれども、たまに深いことがあるので要注意。

・感染徴候の有無
要するにGolden hourを過ぎているかどうか。教科書的には外傷後6~8時間以内であれば一次閉鎖(縫合)が出来るとされているらしいが、あまり考えたことがない。たまに2日くらい経ってから来る人もいるけれど、それで感染が認められなければ、あまり気にする必要はないのでは?と思う。一応何かあってはいけないのでGolden hourを過ぎた場合はよく洗浄して翌日に持ち越すようにしている。ちなみに感染徴候は腫脹・発赤・発熱・疼痛(・機能障害)。これらがないことを確認する。

・人、猫、犬
これらの咬傷の場合はかなりmiserableな転帰をたどる。なのでこれらでないことを念を押す。これらの場合は本に書いてある通りで抗生剤div/PO, 何もなくても切開。翌日必ず受診させる。直後なら小さい傷というくらいかもしれないが、翌日には腫れてくるはず。

この症例は受傷後比較的早く来た(2時間くらい)だったのと縫うほどではなかったので

「キシロカインゼリーをガーゼに落として患部に当てて十分→歯ブラシを使ってゴシゴシよ~く水道水で洗浄(この時に傷の深さを確認)→デュオアクティブ(なんでも良かったんだけど)を貼付」し明日の外来を受診。

理解のある人であればデュオアクティブを渡して自分で1日ごとに交換して貰う。

気をつけること
麻酔をしてあげる:キシロカインゼリーなら痛くないし簡単♪
(正常の皮膚だと塗りこんでも全然へっちゃらなので以前自分の口腔粘膜に刷り込んでみたけど、歯医者さんの麻酔みたいに感覚がなくなった!)

ゴシゴシ洗う:泥が沈着して刺青みたいにくすむので
若い女性の顔など:治った後に日焼けすると色素沈着しやすいので日焼け止めクリームを塗ってもらう(基本的には本人の気が済むまで、上記の創傷治癒の受けおり)

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