2011年10月1日土曜日

Medical practices 2.

というわけで最近の症例集。自分は基本的に外来・当直しかやっていないので入院系のがっつりしたのは今は基本的に診ない。前回が外科系だったので今回は内科系。

Case 1
・80歳くらいの女性。外傷性疾患で入院中。数日前から発熱あり解熱剤を使うと一時的に下がるが、使用をやめると再度上がる。熱が下がらないと(なぜか)当直医に指示を仰ぎに来た。

基本的に当直医に求められていることは応急処置だから「アンヒバ!」って答えそうになったけど、とりあえず診察。
ポイント
高齢者の発熱の原因:特に既往がない場合は大体相場が決まっていて「咽頭炎(風邪)、肺炎、尿路感染症」と来る。はやっていればインフルエンザが加わる。普通の腸炎は基本的には熱が出ないはずだが、多少は出てもよい(ただし、前景に立つのはあくまで消化器症状)。

本人の症状を聞く、身体診察をする:検査が縦横無尽にできる病院であれば「胸写採血検尿!」と叫ぶところだけれど、結局本人の話を聞いたり(含む既往歴、超重要!)診察をした方が近道だったりすることもある。口を開けて、胸の音を聞いて、顔を押えて圧痛を見たり、腰を叩いてみたり、足を触ってみたり(足を見れば歩いている人か歩いていない人か、心不全がありそうか、栄養状態は?など結構情報量が多い印象)

結局のところ除外診断:上記の相場に入っていれば話は簡単だけれども、そうでない場合は鑑別診断がアホみたいに増えてきて結構面倒。その場合は感染症、膠原病、腫瘍と挙げていき鑑別をするが、膠原病と腫瘍に関しては多くの場合緊急を要する事態ではないので後日ゆっくり精査をすることになる(検査が縦横無尽にできる病院であれば「全部CT!」となる)。なのであまりほめられたやり方ではないが、わからない場合はとりあえず抗生剤を流すことになる。

この症例では診察上特に問題はなかったが、口腔を見るのを忘れて後で診た。すると扁桃に白苔がついているではないか。もう一度頚部を触ってみると痛いと。反対側は痛くないので熱の原因は扁桃炎で良さそうということに。さっきは触った時に首痛いって言わなかったじゃん!!!というのはよくある話。


Case 2
70歳くらいの女性。1ヶ月間ほとんどご飯を食べていないとのことで受診。
ポイント
鑑別疾患は山ほどある:思いつくものを並べてみると消化器系(GERD, 炎症性腸疾患、慢性胃炎、胆石、胆嚢炎、胆管炎、肝炎など)、呼吸器系(感冒、肺炎など)、精神系(認知症、うつ病など)、尿路系(腎盂腎炎)、電解質異常、悪性腫瘍、膠原病…。というわけで結論から言うと、その場で確定診断をつけるのはほぼ不可能だということ。仮に上記に該当する疾患があったからといってそれを解決すれば食欲が改善するかどうかは不明。また季節性というのも否定はできない。

なので結局これも除外診断になる:とりあえず緊急を要するものを除外していくことになる。たとえば感染症、電解質異常くらい。これらは大体採血検尿でわかるから(後栄養状態もわかる)、とりあえず採血検尿しながら(どうせさすんだからと)点滴をする。

入院は良いけれどゴール設定をする:食思不振の入院は結局上記の除外ということになる。極端に栄養状態が悪ければCVCを入れて高カロリー輸液を開始することになる。ただ、栄養状態が良くなってご飯が食べれるようになる人もいるけれど、そうでない人もいる。原因が何であれ(脳血管障害でもそうでなくても)、自力でご飯が食べられない人は、そのうち日常生活も困難になって寝たきりになる。「それでも何とか!」という人は胃瘻を作って転院となる。
本人家族が期待しているラインと、実際到達するであろうラインがかい離しすぎていると後々トラブルが生じる。なので入院させるときは入院時に必ずたどりうる経過をいくつか説明しどうなったら退院(or転院)かゴールを決めておく必要がある。

・結局は点滴をして様子を見ることになる:脱水以外で点滴というのがどれだけ意義があるものかよくわからないけれど、結局のところ「じゃあ今日は検査も兼ねて点滴しておきましょうか」という結論にたどり着くことが多い。まあ意義はさておき点滴して元気になってくれれば安いもんだけどね。

0 件のコメント: