2011年10月15日土曜日

Medical practice 4.

だんだん回想集になってきた。第四弾はまた外科っぽい系に戻る。

#火傷した
・若い女性。料理中にお湯をこぼして受診。数時間たっており膨らんできている。

・熱傷の重症度は分からない
と一般的に言われている。特に植皮の必要性の有無となるII度深達性とIII度はかなり判定が困難なのである程度時間がたってから行うとされている。http://www.wound-treatment.jp/などを読みながら構える。

・一番怖いのは気道熱傷
料理中になることはないはずだけれど、火事や(前の病院でいたんだけれど)火を付けられたりしたときには早期に気管挿管を考慮する。というか基本的に気管挿管し鎮静をかけることになる。

まあそんな人は今は来ないのでのんびり出来るんだけれど。

・基本的には綺麗なはず
砂利道ですりむいたのならばまだしも基本的には?無菌のはずだからよほど汚くなければ軽く水洗いする。痛みが強ければキシロカインゼリーを塗ってしばらく待ってから処置。

以前は水泡は自然の被覆材の役目をしていてはがさないほうが良いとされていたが今は細菌感染の可能性があるので可及的に取ったほうが良いという意見もある。自分が習ったのは可及的に取る方法でまあ今のところ問題はないのでその方向で行く。

後はデュオアクティブを貼ったりゲンタシン軟膏→ガーゼをしたり。要するにいわゆる「湿潤療法」のあれ。

・若い女性に言うこと
結構あとが残りやすい。あとが残りやすいというのは熱傷後に出来る皮膚は弱くて紫外線を吸収して色素沈着しやすいらしい。なので露出する部分は(露出しない部分をやけどすることは殆ど無いとは思うが)日焼け止めクリームを塗ったり服で隠す必要がある。特にこの期間だけ、というのはないけれど、本人が気が済むまで、らしい。

#2 褥創処置
・80歳くらいの男性。脳梗塞後遺症で寝たきり、発語もできない、胃瘻造設後。高熱と炎症高値で入院。肺炎は確かにレントゲン上ありそうだけど、バイタルサインや検査値からはなんか変…?

・褥瘡感染を疑う
まあこの経過で褥創がありそうというのは大体想像がつくところ。ただ褥創処置はおそらく多くの病院で看護師がやるものという認識があるらしく医者がやるのはデブリくらいだったりするとこも。

結論から言うとこの症例では仙骨部に大きな(φ15cmくらい)褥創ができてい仙骨が露出していた(喋れなかったけどあ~とかう~とか言っていて相当痛いんだろうなとは分かる)。ただ、褥瘡感染が原因かどうかはよく分からない。「なんで褥創が出来るの?」と考えると背景に低栄養や体動困難、ケア不足など色々あってこれらの原因が起こすのは褥創だけじゃなくて何でも起こしうるから。

・洗浄とデブリメント
その時の上級医に教えてもらったのは「洗浄、デブリメント、(余分な浸出液を吸収するための)イソジンシュガーパスタ」の3つ。本来は看護師がやる処置だったんだけど、研修医だったから「毎日自分で処置をしなさい」と言われた。めんどくさいなぁと思っていたが、やるとそのうちだんだん綺麗になってきて楽しみになってきた。

まず壊死組織はどうやっても戻らないし感染の温床のなるので可及的に切除する。ポイントは血がにじむくらいがちょうどいいと言っていたが、あまりやり過ぎると動脈を傷つけて血が吹き出す。基本的に壊死組織は切っても痛くないはずだから麻酔はしない。

次になるべく綺麗に洗う。出来れば歯ブラシくらいで洗うとよい(大きさとか場所によるだろうけれど)。水道水で良いけれど、ぬるま湯くらいがよいとのこと。

そして最後はイソジンシュガーパスタをガーゼにこれでもか!っていうくらいに塗って被せる。結構大きかったから、でっかいチューブが瞬く間に消費された。

・意外と褥創処置は奥が深い
自分は勉強しようとして若干頓挫したけれど、DESIGN-R分類や褥創の種類によって薬剤が色いろあるらしい。いずれ必要になったときにまた勉強すればいいかというくらい。

ちなみにこの症例ではデブリ洗浄シュガーパスタを繰り返していくうちにあかあかしい肉芽が出始めてきた。その時点で研修期間が終了し次の人に引き継いだが、その後は(あまりにも大きすぎるので)植皮をするだろうということ。

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