2011年11月28日月曜日

Review of this year.

# Review.
mos: 今年一年もそろそろ終わりですねぇ。

hirokickman: そうだなぁ。なんか早かったような遅かったような。

mos: 今年一年どうでしたか?

hirokickman: どうって言われても難しいよね。ちょうど病院の食堂の壁に掛けてある「相田みつをの詩」みたいに「日々是好日」で「今日が一番大事な日」だからあまり深いことは考えていない。

mos: また、そんなことを言って。でも今年が終わるとなんか考えることはないんですか?

hirokickman: 多分客観的に見れば「出来るようになったこと」はたくさんあると思う。切り出しもそうだし診断もそうだし。臨床的なスキルだって週1回の外来と数回程度の当直だけど、それでも毎回少しずつレベルアップしている気がする。だけどそれは「本気を出して」習得するレベルからするとまだまだだし、実感としては「まだ何かが出来るようになった気がしない」というところ。

mos: まあ感じていることと実際が違うことはよくありますもんね。

hirokickman: そうね。例えて言うならy = [x](ガウス関数)でトレーニング量xは少しずつ上がっているのになかなか結果yがでない感じ。

mos: y =[x/2]とかだったらさらに時間がかかりそう。

hirokickman: まぁ単純にx軸方向に2倍になるからね。占い的にも今年はあまり無理をするなって言っているし、とりあえず今年はこれくらいでいいのかなという気がする。

mos: かなり占いを信用していますね。

hirokickman: みんな馬鹿にするかもしれないけれど、一種の宗教と同じようなもんだからね。

mos: ちなみに今年の目標は達成できましたか?

hirokickman: 今年の目標なんて立てたかなぁ??まあいずれにしても環境が変わって自分が外様過ぎて不慣れなことが多くてそれで疲れてちょっとやる気無くしたからねぇ。例えば臨床的なことで言えば、慢性疾患について勉強するというのは実践しているし、まあまあできているかなと言うところ。

mos: 糖尿病、高血圧、高脂血症は多いですもんね。

hirokickman: 多いのは前々からわかっていたけれど、でも自分が得意だったのは「糖尿病性ケトアシドーシス」とか「低血糖発作」とか「高血圧緊急症」(大動脈解離、クモ膜下出血、ほとんどは診断をつけて専門家にパス)だったり。何も症状がない人を「症状を出さないために」どうやって治療するか、結局は普通の薬を普通に出すだけなんだけど、結果がわかりにくい分結構戸惑いが多い。

mos: やっぱり結果がすぐわかる救急向きなんですかねぇ。

hirokickman: 救急のトレーニングをしていたからだろうね。結果がすぐわかるのは好きだけど。後は軽症の外傷をだいたい見れるようになったことか。どれも教科書的には簡単な処置なんだけど、それをきちんと経験して処置できるようになる。

mos: 最初は見る前に必死に教科書を読んでましたもんね。

hirokickman: 今も見るけどね。たまにしかやらないからちゃんと予習復習しないと成長しない。

mos: 病理診断についてはどうですか?

hirokickman: まあひとつ言えるのは全国に何人いるか知らないけれど同じキャリアを歩んできた「同期」の先生たちに負けている自信はある。最初はすごく不安だったけど、今はあまり気にしていない。いずれ同じところにたどり着くわけで。

mos: なんか漠然、というか達観した境地ですね。

hirokickman: 大学を卒業するまでは1年2年というのは学年という差として歴然としてくるけれど、その後っていうのは「卒後何年」みたいな感じで結構漠然としている。卒業したけど国家試験落ちたという人も「卒後何年、免許取得後何年」なんてあまり言わないし。学生時代は臨床実習とかは結果的に結構サボったけれど、それでも今医者をするうえで支障があるかといわれれば特にない。他の大学を卒業した人で臨床実習漬けになった人もいて、最初はすごいなぁと感じてたけど、初期研修を終わってみればそんなに差なんてない。

mos: だいたい卒後10年くらい経つと大学病院でも一般病院でもどういう経路でも同じようなレベルに達するといいますね。

hirokickman: そう。だいたいみんな同じ所にたどり着くみたい。みんながみんなではないだろうけれど。だから今大学で学生がすごく頑張って実習しているけれどそんなんを見ていると「今頑張らなくてもいずれ出来るようになるよ」という気になってきた。

mos: でも昔のentryを見てみると「早く一人前になりたい」というのがにじみ出ているような気が。

hirokickman: まあ立場によって考え方は変わってくるからね。学生の時は今の自分のように考える医者を「ヤル気のない駄目なやつだ」というニュアンスで見ていたけれど、今ならよく分かる。「今のうちに遊んでおけ」と言っていたのもよく分かる。でも遊べと言われて遊べるほど器用ではなかった。

mos: 最近医学教育に冷めだしたのもそのせい?

hirokickman: まあねぇ。完全に覚めたわけじゃないけれど、少なくとも医学教育の世界が今の自分の思い描いている方向とは全く別の方向に進んでいるし、その中に身を投じるのはnonsenseだという判断。結局どうやってもそれなりに人は育つし、時代背景が変わっていくから比較や評価が実質的にできないからねぇ。今はどっちかというと臨床的なことで言えば卒後教育や総合診療に興味があるかな。

mos: 総合診療って「何も出来ないことの言い換えだって言ってなかったでしったけ?」

hirokickman: その通り。何でもできるというのは何にもできないというのと等しくてそれでidentityを保つのは非常に難しい。ただ、自分は病理をバックグラウンドに持つつもりでそれをもって総合診療を名乗れば結構面白い領域が出来るのではないかと考えている。すごくざっくばらんだけど。

mos: あまり聞かない話ですね。

hirokickman: そう?ブログなんか見ていると病理専門医を持っていて内科をやっているという人はたまに見る(逆も結構いるけれど)。ただ両者を十分に活かしている人はあまりいない印象。

mos: 臨床を続けていくつもりですか?

hirokickman: いや、それは分からん。もういいかなと思った時点で終了。

#Plan for next year.

mos: ちょっと早いですけれど、来年の目標を。

hirokickman: 臨床、病理、研究についてそれぞれ考えていることがあるけれど。

mos: じゃあまず臨床から。

hirokickman: 内科系の主な慢性疾患のコントロールの勉強と急性期の疾患のコントロールを忘れないように。あと内科をやっていると皮膚科がすごく重要だということに気がついた(内科で皮膚科の薬出してという患者さんもいる)。なかなか皮膚科の診察・処方というのは特殊でわかりにくいけれど、病理の勉強の時に臨床的なことも勉強しようと思う。外傷系については骨折のレントゲンの読み方に習熟することか。あまり給料には反映されないけれど。

mos: 病理は?

hirokickman: やっぱり診断の精度向上。と言っても漠然としすぎているので具体的に言うと、期間ごとにテーマを決めて教科書と標本を見ていく。今のところはだんだんほんわかだけど疾患のカテゴリーとか概念が出来上がったところ。もうちょっと色々経験してから本格的に勉強したいところ。生検をまだほとんど読んでいないので若干負い目。あとそろそろ解剖症例を片付けないと。

mos: 研究は?

hirokickman: 研究はまだしていないし今のところはするつもりもない(上司も同じ)。ただ、ケースレポートはする必要があるだろうから自分の経験した症例で「珍しい」と言われたり珍しいと感じた症例に関してはfilemakerで保存することにした。最近あったのが子宮のtriple cancerで両側乳癌の既往のある例。まあこういうのは遺伝子を調べたら面白いのかもしれない。他にもepidermoid cyst in ectopic spleenとか。まあ症例報告になるのかは分からないけれど、して悪くはないかなというところ。

mos: なんか種が色々転がっているんですね。

hirokickman: まあね、BZ反応を試してその後カラオケに行って論文を書くという話もあるみたいだからねぇ。あとは正常組織学アトラスを作るのがとりあえずの目標。

mos: この前初めての学会(ということにしておきましょう)発表もあったし、もしかしたら有名になっているかもですよ。

hirokickman: あまり有名になりたいとは思わない。別に拒否するわけじゃないけれど。どっかの中規模の病院の病理部の部長になったりしてのんびりと仕事をするのが目標。これから10年後どうなるのかは分からないけれど。

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